月一ぐらいで基地に来てくださるマダム様がいらっしゃいます。
気に入ってくださってるみたいで、毎回何かを購入してくださるんです。
前回いらしたときに、「すごーーーく気に入ってる鉢があるんだけど… その鉢に多肉を植え込んでほしいの。お願いしていい?」って言われたんです。
「ハイ、かまいません。大丈夫ですよ!」って一発返事をしようかと思ったんですけど、その頃は7月の終り…
あつーい真夏のことだったんですね。
いやいやいや、無理無理無理…
真夏に多肉植物を植え込むなんて、じぇーーーーったいに無理ですって!
植え込むのは簡単ですよ。
鉢に土を入れて、苗を植え込むだけだから。
問題は、その後のことなんですよ。
マダム様がおっしゃってる「植え込んでほしい多肉」というのは、たぶんエケベリアなどの葉がロゼット状の、一般的に「多肉植物」と呼ばれてる多肉だと思います。
そういうエケベリアなどは、春と秋にしか生育しなくて、夏と冬は休眠する「春秋型」です。
真夏の暑い時期に植え込んで、果たしてうまく育ってくれるのか?
活動してないから水をやっても根はほとんど張らず、さらに連日の暑さで弱ってしまい、ついには枯れてしまう…
こうなることが目に見えてます。
7月に依頼された時は、「今、植え込むのはちょっと無理かもしれません」ってお断りしたんです。
「じゃ、涼しくなってきた時にまたお願いするわね…」って、その時は帰られました。
で、本日来られたんですよ。
お気に入りだと言ってた鉢を持って…
どんな鉢かと言いますと…
色合いはシックな、ちょっとおとなしめの鉢です。
使い込んでる感と言いますか、使用感がなかなかナイス!です。
球型の鉢は、以前何かが植わってたようです。
この枯れ方、この残骸…
これはまぎれもなく多肉が植わってたんではないでしょうか?
丸みを帯びたフォルムの残骸と、中心に大きな苗があり、四方八方にランナーを伸ばしてる風からして、以前はセンペルさんが植わってたんではないです?
この鉢に「エケベリアを植えて欲しい」というご依頼なのです。
存在感ある大きい苗を、真ん中に1つドーンと植えた方がいいのか?
それとも、品種違いを3苗ぐらい植えた方がいいのか?
はたまた、oyageeお得意の、ありとあらゆる色づく多肉を隙間なくギューギュー詰めに植え込んだ方がいいのか?
そして、肝心のご予算は?
聞くのを忘れてしまいました… あらららら…
一回り小さな鉢も持ってこられてました。
こちらは専用のかごとセットになってまして、取っ手もついており、壁などに吊り下げても飾れる、置いても飾れるという二刀流タイプの鉢です。
これ、うちのジャンクガーデンに欲しいんですけど…?
シャビーでダメージ感がすごくいいんですが、一つだけ問題が…
これ、鉢穴が開いてないんですよ。
これは大問題です!!!
それなのに、これに多肉を植え込んで欲しいと…
無理無理無理! 絶対に無理ー!!!
鉢底穴がない鉢に多肉を植え込んでも、1か月ぐらいは何とか持ちこたえ、それなりに楽しめるかもしれません。
しかし、長く育てるのなら、鉢穴のない鉢に多肉を植え込むのは無理ですって!
多肉の管理がすごく上手で、多肉の弱点とか特徴を熟知してる人なら、鉢底穴がなくても長く育てられるかもしれませんが、それ以外の人なら、鉢底穴がある方が無難ですって!
だけど、このマダム様はこの鉢がすごくお気に入りで、この鉢に大好きな多肉を植えて「多肉LIFEを楽しみたい」…らしいんです。
どうすればいいものか???
困りました…
植え込んで欲しい苗をこの場でリクエストされまして…
ご指名があった多肉は、この子たち。
タニックランドの時計台の前に植わってるこのセダムたちを、リクエストされたんです。
これ、小学校ではないですよ…
これは「バックトゥザフューチャー」の時計台をイメージして作った時計台ですから!
何度もしつこいですか??
だって、みんな、「かわいい小学校!」って言うし、言わないとわかってくれないんです…
その時計台の前にある、左のちょっと大きな葉のセダムは、ファイヤークラッカーの斑入り品種の「ワイルドファイヤー」
その右の黄色に輝くセダムは、「黄金細葉マンネングサ」か、「ドリームスター」だと思います。
この2つって、実は同じもの???
3つの鉢の2つは、この2種のセダムを指定されました。
マダム様は、赤く色づいた斑入りのワイルドファイヤーと、黄色に輝くセダムがすごくお気に召されたようです。
このセダムを、鉢底穴のない鉢に植え込むんですか???
無理ですよね?
絶対に無理ですよね? ね? ね?
だけど、お気に入りの鉢にお気に入りのセダムを植え込んで、「かわいい!きれい!ありがとう!」ってマダム様に喜んでもらいたい………
「植物のことなら、oyageeにお任せ!? 的確に!?迅速に!? あなたの植物のお悩み、すべて解決します???」を合言葉の、Dr.プランツoyageeちゃんに久々に変身し、マダム様の無理難題の依頼を解決しようと思います。
鉢底穴のない鉢に多肉を植え込んで、長く楽しんでもらうためには、やっぱり鉢底穴が必須??
1つ目の案は…
インパクトドライバを使って、この鉢底に穴を開ける?
以前、鉢穴のない茶碗や湯飲みを、磁器タイル用ビットで穴を開けたことがあるんです。
開くのに30分ぐらいかかりましたけど…
開けようと思えば開けられるかもしれませんが、無理、無理、無理、絶対に無理!
人様の鉢、それもお気に入りの鉢を割ってしまったりしたら、それこそ目を当てられません…
弁償どころでは済みませんよ。
タイル用ビットを使っても、インパクトドライバだと振動が激しいし、インパクトはそれほど馬力のあるドライバではないので、どうしても穴を開ける陶器の方に無理がたたり、割れる確率が高いんですよね。
ホントに割りそうで怖いわぁ…
それに、30分もインパクト持ってガーガーやるのは、正直きついです。
しかも1つじゃあなくて、3つですよ? 1時間半ですよ?
これは却下です…
じゃ、2つ目の案として…
このまま鉢穴のない鉢に多肉を植え込んで、水やりのたびに鉢を傾けて排水してもらいます?
それも無理そうですよね…
最初のうちはいいと思うんです。
毎回水やりするごとに、鉢を傾けて、水をこぼすって作業をやってもらえると思います。
しかし、段々と億劫になってくると思うんですよ。
やっぱり鉢底穴があった方が絶対にいいに決まってます。
何かいい方法はないでしょうか…
3つ目の案は…
すでにポリポットに植わってる多肉を、この鉢にセットするって言うのはどうでしょう?
で、水やりするときにこの鉢ポットから外して、水やりし、ある程度水が捌けたら、またこの鉢にセットする…ってのは?
試しに、近くにあるポリポットに植わってる多肉をセットしてみますよ。
これは、子持ちレンゲ錦…
子持ちレンゲの斑入り品種です。
大きさ的にはちょうどいいんですけど、高さが高い…
黒のポットが丸見えですよね。
これはおかしいです。
Dr.プランツoyageeちゃん、久々に、悩む、悩む、悩む…
いい方法ないでしょうか?
ポリポットをこの鉢の高さにカットするって言うのもありだけど、もっといい案がありそうな気がします。
これはどうでしょう?
これ、カシワバゴムの木の小苗が植わってたんだけど、基地内にずっと置いてたら、水のやり忘れとか、風通しの悪さとかで葉が一枚枯れ、また一枚枯れ…で、ついには茎まで枯れてしまいました。
この鉢、大きさはさっきのポリポットと同じぐらいですが、高さが意外と低いんですね。
これが合うんではないでしょうか?
実際に入れこんでみますよ。
ほら、ぴったり!!!
ちょっと隙間がありますが、水やり時、取り出す時に指を入れて掴みやすいんで、これぐらいの余裕があってもいいと思います。
植え込むのはセダムだから、成長が始まったら、すぐに隙間がわからないほどモリモリこんもりと茂りそうですし…
これにします!
これに決定!
同じ型のこの鉢ポット、家にもまだいくつかあったようだし、この鉢ポットにワイルドファイヤーと黄金細葉万年草を植えて、あと1つはタイプの違うセダムを植えて、マダム様にお渡しします。
取りに来るのは、1か月後…
マダム様は、果たして喜んでくれるでしょうか?
それとも、「この鉢に直接植えてほしかったのに…」って言われるでしょうか?
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「こういうのじゃあなくて… やっぱり直接この鉢に植えてくれません?」って言われたら?
その時は、Dr.プランツoyageeちゃん、その場で泣き崩れます…